「モロッコの物価はどれくらいですか?」「モロッコに行きたいのだけど、いくらくらいかかりますか?」という質問は、とてもよく聞かれる質問です。
一概に「これくらいです」とも「安いです」ともお答えするのが難しく、これはモロッコに限らず、みなさんがどのようなスタイルで旅をしたいのかで変わってきます。

まず理解しておかなくてはならないのは、モロッコは地図上の位置でもヨーロッパにほど近く、ヨーロッパ人にとっては、近くて気軽に行けるリゾート地です。
ヨーロッパからの移住者も大変多く、実際、お洒落なリヤドやショップ、レストランのオーナーはほとんどがヨーロッパ人です。
ですから、物やサービスの価格がヨーロッパ基準になっているのは言うまでもありません。「モロッコは物価がとても安い国」と思って行くと、そのギャップに驚いてしまうかもしれません。ここ10年の間でもかなり物価が上昇した実感があります。

モロッコの現状についてお話すると、近年経済成長がめざましく、それに伴い、貧富の差もどんどん開いていっているのが現実です。
失業率もとても高く、月に数万円の収入で住居にも困る人が多い一方で、高級車を何台も所有し、プール付きの大豪邸に住んでいる方も多数いらっしゃいます。街で見かける高級車の数の多さに、なんとなく発展途上国のようなイメージをモロッコに対して持っている方は大変驚かれるでしょう。
教育レベルもかなりの差があり、田舎のほうではロバをひいて働いている子供たちもよく見かけますし、ラバト、カサブランカなどの都市部では、アメリカンスクールやフレンチスクールの下校時刻になると、お迎えに来た運転手付きの高級車が通り一帯を塞いでいる光景もよく見られます。ある意味、低所得者層と富裕層の棲み分けが非常にわかりやすく区別されている国とも言えるでしょう。
モロッコ人同士でも、都市部の出身なのか、田舎町の出身なのか、家柄はどうなのか、教育レベルがどうなのかなど様々な要素で差別が根強いのも現実で、低所得者層と富裕層が交わることは決してありません。長年モロッコに通っていると、いろいろ気づくことがありますが、住む場所、買い物する場所、食事をする場所、コーヒーを飲む場所、行く病院にいたるまで、ここには明確な区別がされているのだと思います。

当然ながら、レストランやホテルもランクは幅広いです。
数百円で食べられる食堂や屋台から、1人1万円は軽く超えてしまう高級レストランまで様々。
ホテルやリヤドも、1泊2000円程度の安宿から、1泊10万円以上するようなラグジュアリーホテルまで非常に幅広い選択肢があります。
お買い物に関しても、チープで可愛い雑貨もたくさんありますし、品質が良くてセンスが良い物を買いたい場合はそれなりのお値段です。移動はバスや鉄道を利用すれば安く抑えることは可能ですが、車をチャーターすればそれなりの費用がかかります。
とにかくすべてを安く抑えたいか、すべてラグジュアリーコースでいきたいか、両方とってミドルでいきたいか、これはお客様それぞれの旅スタイルです。モロッコに限ったことではありませんが、「いくらかかるのか?」ではなく、どのくらいの予算で旅を組み立てたいかということになります。

このような理由で、「物価はこれくらい」「旅費はこれくらい」と一概にお答えできないのです。